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ブログ

アメリカの医療施設

Keiko Tassill

「オバマケア」という言葉を最近、頻繁に耳にすることもあると思いますが、アメリカの健康保険制度には日本のような国民保険制度がなく無保険者が大勢います。私はカイザーという病院施設を持った大手のHMO 健康保険に入っているので通常は他の医療施設に行く機会はありません。ただ今年も通訳の仕事で米国内の多くの医療施設に行く機会がありました。今回はその中でもアメリカの文化や環境を反映した医療施設をご紹介しましょう。

M.D.アンダーソンは世界的にもがん治療や研究で有名なヒューストンにあるテキサス州立大学の病院です。周辺は巨大病院や医療施設が建ち並ぶメディカルコミュニティー。さすが、何でも大きいテキサス!日本からいらっしゃった看護師さんたちの1週間のシャドーイング研修時の通訳でレクチャーのみならず、臨床現場での状況を学ぶ機会としても非常に有益でした。

近代的な建物で、病院とは思えない国際コンヴェンションセンター風のロビーや5つ星のホテルのような病室があるロサンゼルスのロナルド・レーガンUCLA メディカルセンターはハイテックな病院です。富裕層の住民地域にあるカリフォルニア州のニューポートビーチの病院もまるでリゾートのようでした。非営利病院時代にフランク・シナトラが貢献した、現在では営利病院となったカリフォルニア州のパームスプリングスという砂漠地域にある病院にも訪問する機会がありました。私が通訳でお手伝いした視察団の訪問が地元のTV局のニュースでも報道されたのでこちらのリンクをご覧下さい。

また 経営品質管理の最高峰であるマルコムボルドリッジ国家品質賞を2007年に受賞したサンディエゴにあるシャープヘルスケアは医療の質とコスト面などの効率の両面に焦点をあてた経営を展開していました。シャープシステムの1病院であるシャープコロナドホスピタルではPlanetreeという患者を中心にしたシステムを取り入れ、マッサージ、鍼治療、アロマセラピー、ペット療法など行っています。そして焼きたてのクッキーの香りがする家庭の雰囲気を感じさせるスピリチャル、社会面、肉体的なすべてにおけるヒーリング(癒し)をフィロソフィーとしている暖かさと安心感を感じさせる優しいビーチリゾートのスパのような病院でした。

それとは対象的な米国退役軍人が利用できる病院が全米に150箇所以上ありますが、以前、サンディエゴやその他の都市で訪問した退役軍人病院では傷病兵が行く連邦政府が運営しているマッチョなイメージの病院という印象を受けました。今回訪問した病院はラスベガスの郊外に8月にオープンしたばかりで前述のPlanetreeシステムをケアや建築にも取り入れた私の退役軍人病院のイメージを大きく変えた病院でした。戦場で負傷した兵隊のための人工装具(義足や義手など)を製作する施設や技術が充実しているのと、また戦地で精神的なストレスを受けたPTSD(外傷後ストレス障害)などの精神科ケアに力をいれていました。長期化している不況で戦争から帰還した退役軍人の失業が大きな社会的問題になっています。このため退役軍人の自殺率が過去最高になっています。とくに米陸軍兵では戦死者よりも自殺者の数の方が多いというのはショッキングなニュースでした。

また、現在サンディエゴに停泊している米国海軍マーシー船(病院船)は別世界でした。任務は米国陸上展開部隊、上陸作戦部隊を迅速に支援し、平時は2年に一度パシフィックパートナーシップの活動として環太平洋諸国で人道的な医療支援活動を行っています。ベッド数も1000床あるのですが、二段ベッドのような構造になっていました。また医療機器やベッドも航海中の揺れや振動にも対応できるような構造になっていました。

医療費が高く、保険会社からの支払いも削減され、またテクノロジーの高度化で術後の回復期も短縮化されています。最近、目立って増えているのは日帰りサージャリーセンターです。また無保険者やかぜなどの軽い症状、健康診断、予防接種などを提供しているドラッグストアの一角にあるリテールクリニックも増えています。日本にはない職レベルの医療従事者であるナースプラクティショナー(NP: nurse practitioner、特定看護師)やピーエー (PA: physician assistant )と呼ばれる医療補助者が医師の監督下(電話でオンサイトに常駐していない医師に相談すること)で医療行為ができるというものです。日本から専門の先生たちがロサンゼルスのリテールクリニックに訪問された時には、偶然にも日本人の留学生数人がツベルクリン反応の検査に来ているところでした。安くて予約もいらないシステムなので気軽に行けていいとの意見でした。ドラッグストアにとっても処方箋や市販薬、その他飲み物やからスナックまでを買ってくれる顧客を集客でき、消費者にとっても便利で安くて安心というわけです。

様々な医療施設はまさに今のアメリカの社会を反映していますね。急に寒くなったこの頃です。みなさんかぜなどひかないように、また年末年始の食べ過ぎ飲み過ぎにお気をつけください。