通訳ブースの中では。。。
Keiko Tassill
通訳ブースに入るとまず安心することがあります。 通常会場は夏でも冬でも冷房が入っているので寒いのですが、ブースの中は守られていて暖かいのです。 ただ、時間が経つにつれフル回転で仕事をしている私たちも暑くなってきます。後半になると必ずと言っていいほど通訳者はジャケットを脱いで半袖姿で頑張っていることが多いかもしれません。
さて、皆さんはいつも私たちを外から見られていると思いますがこちらは通訳ブースの中からの光景です。外からはデスクのランプが照明効果で実は中が丸見え。(気をつけないといけませんね。)お客様も私たちのことを観察しているようで、よく言われるコメントがあります。
「ものすごい勢いで水を飲んでいますね。」えっ、と思って意識してみると私も自分の順番が終わるとボトルの水をごくごくと飲んでいました。15分くらいノンストップでスピーカーに遅れないように通訳をすればのどはからからになるのは当然。特に早口スピーカーの場合は15分でも30分くらいのアウトプットですからもっとのどが乾くはずです。
もう一つのコメントは「やっぱりチョコレートを食べているんですね。」言われてみると確かにボトルのお水(カップだと倒してこぼれてしまう可能性があるので)やコーヒー、そしてチョコレートがいつもブースの中にあることに気がつきました。脳はどの臓器よりもエネルギー消費が高く、またそのエネルギー源はブドウ糖のみ。脳を使うと血糖値が下がるので血糖値を元に戻し、脳を働かせるには甘い物が必要ということだそうです。詳細はこちらを読んでいただくとなるほどと思われるでしょう。チョコレート以外にも甘いものはたくさんありますが、チョコレートは手頃に食べれてよごれず、こっそり食べられるからかもしれません。あまり甘くはありませんが、お煎餅などを隣のパートナーが通訳中に「ぼりぼり」と音をたてながら食べるわけにもいきませんし。。。
反対にあまり血糖値を上げてしまってはいけないのではという記事を先程読みました。東京都医学総合研究所が 「ショウジョウバエを空腹にすると長期記憶が向上する。」という研究結果を今月米科学誌サイエンスで発表するものです。空腹時にインスリンが低下すると記憶に関わるタンパク質CRTCが活性化し、長期記憶が向上するというものです。もちろん人間の記憶はハエの記憶の仕組みより複雑なのですが、試験勉強や通訳のお仕事の準備の時にはお腹をすかせて勉強すると長期記憶に効果的かもしれませんね。しかし同時通訳中はもう短期記憶ですから血糖値が上がっていても大丈夫!?
このようなサイエンスの正当な理由があるのでブースの中では罪悪感を感じずにますます私たちは甘いものに手が伸びそうです。チョコレートの差し入れ大歓迎です!