アメリカのフードデザート
Keiko Tassill
アメリカの「フードデザート」という言葉を聞くとまず頭に何が浮かんできますか?アップルパイ、アイスクリーム、それともめちゃくちゃ甘いずっしりとしたチョコレートケーキでしょうか?アメリカにいらっしゃったことのある方ならデザート(dessert)の大きさと甘さにはびっくりされたはずです。一瞬、おいしそうに聞こえるこのフードデザート(food desert)はアメリカの深刻な社会問題となっています。 「フードデザート」とは「食の砂漠」ということなのです。
「デザート」のスペルと発音にご注目ください。 食後のdessertにはsが2個、発音はディ“ザ”ート(dizэ'rt)というようにアクセントが後ろ、「砂漠」を意味するdesertはsが1個、“デ”ザート(de'zэrt)というようにアクセントが前に来ます。ちょっと高度な社会的問題をディスカッションするつもりでディナー時にこのトピックを出しても、発音を間違えると「チョコレートケーキ、ティラミス、それともアイスクリーム、コーヒーはいかがですか?」なんて返事が返ってきてしまうかもしれないのでアクセントの位置にはくれぐれもご注意ください。
「フードデザート」はもちろん、アメリカばかりでなく、日本や世界の国々で問題化しています。大型スーパーなどが遠く(アメリカでは都市部では1マイル=1.6キロ、郊外では10マイル=16キロの距離と定義)、また低所得者であるため交通手段の車がなかったり、特に栄養価の高い生鮮食品などの購入が困難な地域を言います。またお年寄りも遠出をして買い物に行けないなど社会的排除の問題も大きく関与しています。
アメリカではボテトチップス、ポップコーン、ドーナツ、冷凍ピザ、ソーダなどのスナック類(←体に悪そうなものばかり)は人里離れた場所の国道にぼつんとあるようなガソリンスタンドのコンビニなどでも買えるのでフードデザート人口は栄養失調ではなく、肥満が大きな問題になっています。
こちらのマップはアメリカ農林省が昨年ウェブに掲載したツール「フードデザートマップ」です。米国内ならどこでも食の砂漠化状況を調べてみることができます。どきどきしながら私の住んでいる地域も調べてみました。ピンク色にはなっておらず、フードデザート地域には指定されていませんでした。なんと米国内の1400万人近い人がフードデザートに住んでいるそうです。
さて、来週はdesert(砂漠)のラスベガスでカンファレンス通訳のお仕事です。また何か発見があったら皆さんにご報告します。ちなみに来週のラスベガスの気温は30℃後半〜40℃前半の予想。暑そうですね〜。参考までに史上最高気温はなんと47.8℃!でもここで油断してはいけません。私は朝から晩までクーラーが過剰にきいた冷蔵庫のような会議場にいるのでこれから長袖ジャケットやスカーフなどをパッキングすることにします。(バックナンバー:2009年10月「寒さに強いアメリカ人」も読んでみて下さい。)