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ブログ

電話会議・電話通訳

Keiko Tassill

会議室でクライアントを待ちながらUSA Today(ホテルなどでよくみかけるビジネス系全国紙 www.usatoday.com:個人的にはだらだらと続かない記事フォーマットが気に入っている)を読みながら、オバマ大統領の就任式で世界中が盛り上がっていたお祭り騒ぎが過ぎた今の現実は厳しいなぁ~と思いながら電話会議でよく使われる三角形の電話(写真)が視野に入ってきた。

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つい最近の「麻生首相、オバマ大統領と電話会談」の記事を思い出し、大統領の電話会議はさぞかし大変だろうなぁ、でも環境も万全に整っているはずだけど、いったいどんな電話システムを使っているのだろうとついつい舞台裏のことを考えてしまう。通訳をする際に一番困るのは聞こえない状況にあること。耳にインプットされないものは口からアウトプットもできない。そんな時、経験や知識を生かしながら、また話し手の表情や口の動きを見ながらベストな訳出を試みるのだけど電話を通じての通訳になるとこれができない。まるで真っ暗なトンネルの中で音だけを頼りに前進しようとしているようなもので、日本とアメリカの二者間ならまだしも、これにアクセントの強いヨーロッパオフィス、オーストラリアなどのアジアパシフィックオフィス、香港、インドなどなど数箇所が同時に出席し、どこの誰がどんな立場でいつ発言しているのかもわからない状況で通訳するのは非常に厳しい。このような電話会議を1時間もやるともう終わった頃にはぐったり。ただ会議の背景や内容に関する知識があると聞こえにくい言葉も急に聴き取りやすくなり、また状況が見えてくるのでトンネルの中が途端に明るくなってくる。国際電話代も昔と比べて安くなったせいかまた最近は不況で出張禁止令がでているためか電話会議がとても多い。プラス最近はスカイプなどを使えば電話代もただ。ビデオ会議の設備がなくてもコンピュータにカメラがついていればミニビデオ会議すらできる時代。

ビジネス社会以外でも電話通訳のニーズはたくさんある。たとえば、アメリカの病院では常に患者が話す言語で医療サービスを提供しなければならないという法律があるのでもし出張中などに病院に行く羽目になった際には「ジャパニーズインタープリター、プリーズ」とさえ言えれば病院は無料で通訳を提供してくれる。病院に勤務するバイリンガルスタッフなどが対応したりもするが、夜間やまたニーズがあまりない地域の病院には日本語で対応できる人がいないので、電話通訳を使う。子供の熱やけがからお産のお手伝い、耳の遠いお年寄りの人のためのセラピー、自殺未遂者の精神科カウンセリングから、心臓手術や脳外科手術などかなり高度なものまであり、なんといっても人の命に関わることなのでどきどきしてしまう。また、時々、空港の移民局/税関からも電話がかかってくることもあり、疑わしい人は個室に連れて行かれ宣誓宣言をしていろいろと尋問されるのだが、次のフライトで強制送還されてしまうケースが今までに多かった。

今年1月12日からはESTA (http://japan.usembassy.gov/j/visa/tvisaj-esta2008.html)という事前にインターネットで申請審査するシステムが義務化されている。以前、ハワイであるサポートグループ会議に参加するために来た日本人が次々に入国審査を受けなんと10時間近くも電話に張り付いていたこともある。さすがに途中、トイレ休憩を何度か入れてもらい、家族に水やサンドイッチを差し入れしてもらったことを覚えている。刑務所から電話がかかってきた時は相手に私の顔を見られず正体がわからなくて本当によかったとほっとしたこともあった。また、ある時、いやに派手な音がバックグラウンドでしていると思ったら、ラスベガスのカジノからで日本人女性がジャックポットを当てその書類手続きの説明を訳してほしいとのことだった。この時は思わず「どこのホテルですか?いくらあたったんですか?おめでとうございます!」と喉元まででていたが、個人的な発言は一切だめ。いずれの場合にせよ、正確さと中立性が常に求められる。これは電話通訳に限らず、通訳の鉄則、また基本でもある。異国で言葉だけでなく、システムもよくわからないのでしっかりと正しく理解することがより重要になってくるので「ジャパニーズインタープリター、プリーズ」の一言だけでも覚えておくと訳にたつかもしれない。あまり通訳にお世話になりたくないケースばかりのようだが、もしかしたらジャックポットのケースもありえるかもしれませんので。