ブルーオーシャン
Keiko Tassill
先月は (スペインですが、アフリカ大陸の北西沿岸に近い大西洋上ある)カナリア諸島・テネリフェ島 に出張しました。テネリフェ島はちょうどヨーロッパの人たちにとってはアメリカのハワイのような存在で、寒い冬でもトロピカルなリゾート地。私が宿泊したところもすばらしいリゾートだったのですが、どうもここ一つ何かが欠けていて、ハワイとは違うんです。大西洋の海は色が青くない、池のような赤茶けた濁った色でブルーオーシャンでないのです。子供の頃から海の絵を描く時は必ず青いクレヨンを使っていたので今回青くない大西洋の海が私にはとってもショックでした。
さて、ブルーオーシャンと言えば、マーケティング関連の会議に行くとよく聞く言葉です。これは仏欧州経営大学院のW.チャン・キム氏とレネ・モボルニュ氏が著したビジネス書“Blue Ocean Strategy”で述べられている経営戦略論のことで、ブルーオーシャンは競争のない新しい価値を創造する未開拓市場で、もちろん多くの企業はこのブルーオーシャンを一人で優雅に泳ぐためにいろいろなアイデアや技術を商品化しようと頑張っています。しかし、ほとんどの企業が競争に明け暮れる既存市場、レッドオーシャンにいると言うわけです。
本書でも紹介されている製品や企業、いわゆるサクセスストーリーは私にとってもなじみ深いものが多いのでちょっとここでいくつか裏話を。まず、シルク・ドゥ・ソレイユはカナダのエンタテ―メントグループ/管理会社で世界中で数多くのショーを常設、巡回公演しています。日本でも昨年常設の「ZED」がオープンし、ラスベガスではO, Mystere, Zumanity, KA, LOVE, Criss Angel Believeなど常設公演されています。ある時、シルクの監督のフランコ・ドラゴーヌと一緒にショーを観ていた時に、彼に感想を聞かれたので、「何かこれと言うものを感じないわ。」とバカ正直に言ってしまってからしまったと思った瞬間に「貴重な意見をありがとう。」と言われて恥ずかしい思いをしたことを覚えています。なんと、数ヶ月後にショーは改善されました。ショーを観る大半の人たちはアーティストや専門家でもなく私のような一般の人、そういう普通の人の意見を大切にしているのですね。
また、ダイソンという英国のメーカーのサイクロン式の紙の袋がいらない掃除機を私も愛用しています。日本ではあまり人気はないようですが、アメリカでは今は主流になっていて、まさに市場を創出したメーカーです。私が好きな理由はゴミがたまる部分が透明のプラスチックなので、吸い取ったものがすべて目に見え、掃除をしてきれいになったという実感があって掃除が楽しくなるからです。
サウスウエストエアラインも従来のエアラインビジネスを変えた画期的な会社で一時、ラスベガスによく出張していた時は空飛ぶ通勤バスの感覚で使っていました。
そして、日本代表者は任天堂”Wii”。毎年、ロスで開催されるビデオゲームの展示会/コンファレンスE3でプレス向けの発表イベントがあります。ちょうどWiiを発表した年に、このイベントの通訳をさせていただき100ページ近いスクリプトを事前に渡され、読んだだけではどんなものかも想像もつかなかったのですが、今やビデオゲーム年齢層から完全に外れている女性である私をもWiiの虜にしてしまったくらいです。
いずれにせよ、私はやっぱりブルーオーシャンが好きなんですね。(写真:ハワイのビーチ)