エレベータ vs リフト
Keiko Tassill
中学1年生の時の英語の教科書で印象に残っているのはロンドンのビッグベン(大きな時計台)とカリフォルニアのパサデナで毎年1月1日に行われるローズパレード、そして大統領が彫刻されているマウントラッシュモアの写真です。また、イギリス英語とアメリカの英語(正確には米語?)では表現や単語が異なる例としてアメリカ人がロンドンを訪問し、ホテルでイギリス人の友達と待ち合わせたストーリーを今でもよく覚えています。:イギリスでは日本やアメリカで1階と言われる地上レベルはGround Floorと呼ばれ、いわゆる2階をイギリスでは1st floor(1階)と呼んでいます。それを知らないアメリカ人は1st floorで待ち合わせましょうと言われたのでGround Floorでいくら待っても友達が来ないのでおかしいと思ったという話でした。
中学1年の時に学んだこの知識があるはずなのに先週からアイルランド、そしてイギリスに来ている私はエレベーターで下におりる際に必ず1を押す癖があるようでついつい2階で降りようとしてしまいます。G(Ground)と表示してあればまだしも0(0階)となっているところもあり、慣れるまで時間がかかりました。
そしてエレベーターと言えば、「エレベーターピッチ」とか「エレベータースピーチ」という言葉を会議などでもよく耳にします。これはエレベーター内で顧客や上司などに偶然会った時にいかにエレベーターに乗っている短時間で要を得た簡潔な説明をして売り込もうということです。もちろんすべてを説明しきるのではなく、相手に興味を持たせるパワフルなスピーチをということなのです。エレベーターというとても狭い密室で顔をあわせれば挨拶ばかりではなく、いろいろとおしゃべりしたりもするわけです。妹が始めてアメリカに来た時、私がエレベーターで(その朝初めて)会った人と親しそうに話していたのを見て、妹はてっきり仲の良い知り合いだと思っていたそうです。しかし、これも文化の違いでしょうか、日本のオフィスビルのエレベーター内に「エレベーター内では私語を慎むこと」という貼り紙がありました。これはおしゃべりをしているとうるさいというばかりではなく、何気なく話したことでも社内や部署、関係者間以外には秘密情報である可能性もあるので情報を漏らさないようにするためだそうです。確かに厳格な日本人らしい考え方でしょうか。エレベーターはイギリス圏では`Lift`(写真)と呼ばれています。リフトというとスキーか登山にでも行くような気持ちになり、アメリカ文化にどっぷりとつかっている私はなんだかただエレベーターに乗るのも楽しくなってきます。